弘前公園の冬景色 ~雪吊りと頭飾り~
こんにちは!市民ライターの黒岩です!
前回「弘前公園の雪囲い」の記事で、雪国の冬支度をお届けしましたが、今回は同じ弘前公園で見ることができる「雪吊りの頭飾り」についてご紹介します!
かわいい装飾が、市民や観光客を楽しませていますよ。
◆高い樹木を雪の重さから守る「雪吊り」
雪吊りとは、樹木に積もった雪の重みから枝を守るため、柱や縄で枝を固定する手法のこと。一本の柱を樹木の中心に立て、先端に結ばれた縄を放射状に張り、枝を吊り上げて安定させます。弘前をはじめとする青森県内でも冬の風物詩となっており、街の至るところで見ることができます。
◆雪吊りの先端に「頭飾り」が並ぶ
長い冬を乗り切るための雪吊りですが、弘前公園の雪吊りは、ただ樹木を縄で吊り上げているわけではありません。
一つ一つの雪吊りを見てみると、先端には縄で作られた「頭飾り」があるんです!
「頭飾り」とは、雪吊りの柱の先端に施された装飾のこと。主に縄やわらで作られており、デザインも一つ一つ異なります。
11月下旬から設置作業が始まったとのことで、弘前公園へ足を運んでみました!
◆約40個の頭飾りが毎年手作業で設置される
弘前公園の本丸に向かうと、マツの木に雪吊りを設置している弘前市公園緑地課の職員の姿がありました。
まず、雪吊りの支柱となる木を固定します。支柱を設置し終えると、上から数十本の縄を放射状に投げ下ろしていき、下にいる職員が一つ一つ丁寧に結んでいきます。今まで当たり前に見ていた雪吊りの風景ですが、ここまで丁寧に作業されているとは知りませんでした。
「今冬は40個の頭飾りを楽しめます」。そう話すのは長年雪吊りや頭飾りの設置を担当している山﨑貴穂さん。園内には約40個の頭飾りがあり、デザインも全て違うといいます。
雪吊りを支える木の柱に取り付けられた頭飾り。取材前は最後に設置するものだと思っていたのですが、最初の段階から柱に取り付けて制作しているんですね。
今回、頭飾りの制作に携わる山﨑さんにお話をお伺いすることができました!
◆頭飾りを制作する弘前市公園緑地課の職員を取材!
黒岩:頭飾りの準備は、いつごろから始めるんですか?
山﨑:弘前城菊と紅葉まつりが始まったあたりから作り始めるんですけど、デザインは年中考えてます(笑)その年の頭飾りを作り終えた瞬間から、来年のことを考え始めています。
黒岩:一年中考えているんですね!
山﨑:はい。干支を中心に考えているんですが、流行ったものとか、印象に残ったものなどを取り入れています。今年は大谷翔平選手が活躍したので、試合の中で着けていた兜を作ってみました。
黒岩:デザインは絵や設計図にするんですか?
山﨑:私の場合は、絵にはしないです。アイデアは年中考えているんですが、作る時にああしよう、こうしよう、という感じで考えながら制作しています。
黒岩:職員の皆さんで分担しながら作っているんですか?
山﨑:そうですね。弘前公園内にある二の丸の飾りは、みんなで作ったんですよ。私は作り方を少し教えただけで、あとは各々試行錯誤しながら。今年のテーマは「動物園」。実は弘前公園には昔動物園があったんです。当時いた動物たちをメインにして縄飾りで再現しました。
黒岩:毎年違うテーマなんですね。
山﨑:そうなんです。なので毎年悩んでますよ(笑)
◆ユニークな頭飾りが始まったのは、
職員のアイデアがきっかけだった
黒岩:弘前公園の頭飾りは、昔からあるものなんですか?
山﨑:始まりは不明ですが、40年くらい前には弘前公園で設置していました。頭飾りという文化は、昔からあるんです。でもどっちかっていうと古い感じの、伝統的な頭飾りが多かった。
黒岩:昔から頭飾りはあったんですね。
山﨑:今につながる頭飾りが始まったのは2011年です。弘前城がちょうど築城400年を迎えた年で、弘前公園でも大きなイベントが開催されたんですよ。卯年だったので、ウサギの耳を模した頭飾りを職員で作ったんです。それが結構市民に好評で。翌年からいろんなデザインで作るようになったんです。今は多くの方に楽しんでもらえているので、すごくうれしいし、作りがいがあります。
黒岩:ユニークな頭飾りの歴史が始まったんですね。
山﨑:始めは試行錯誤しながらだったんですよ。それが徐々に市民に広がって、頭飾りを見に弘前公園へ来てくれる人も多くなって。私たちも力が入りますよね。
◆「なんだこれ?」と想像しながら楽しんでほしい
山﨑:これはなんだろう? と想像しながら、冬の弘前公園を楽しんでほしいと思います。たとえば、外濠沿いにある2つの頭飾りは、ひとつがサクラ、もうひとつがハチなんです。分かる人には分かるかもしれないけど、たぶん「なんだこれ?」って感じるかもしれない(笑)パッと見ただけでは分からない頭飾りも多いんですが、それも含めて楽しんでほしいですね。
黒岩:ありがとうございました!
◆取材を終えて
私は県外から移住した一人なのですが、頭飾りを初めて見たとき、「弘前の人は冬も楽しんでいるんだ!」と強く感じたことを覚えています。
今回弘前市公園緑地課の方々を取材して、弘前公園の伝統や歴史を尊重しつつ、新しいことに挑戦している姿がとても印象的でした。冬しか見ることができない頭飾りを、ぜひ友だちや家族と一緒に探してみてくださいね。
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