弘前市民ですら見たことが少ない弘前公園の珍しい雪景色
日本一とも言われる弘前公園の桜。東京ドーム約10個分(約49ヘクタール)の広さがある園内にソメイヨシノ、シダレザクラなど52品種約2600本の桜が咲きます。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色。今回は、弘前市民ですら目にする機会がほとんどないような弘前公園の雪景色を紹介します。
◆着雪した枝が美しい雪景色
1年に数回ですが、弘前公園の木々に雪が着き、雪の白と枝の黒のコントラストが見事な日があります。今年は暖冬で少雪ということもあり、見ることは難しいかもと思っていましたが、その日は急に訪れました。
1月19日。帰宅途中に夜の外濠を歩いていると、着雪したソメイヨシノの美しさがすでに幻想的。「今日しかない!」と、そのまま弘前公園を散策。園内の木々の枝には雪がのり、まるで白い木を見ているようです。人によっては桜が咲いているように見えるかもしれません。
園内はもっと幻想的でした。
弘前公園には現存する弘前城天守のほかに、江戸時代初期に建てられた城門や櫓(やぐら)が残っており、なんといっても弘前城の縄張がほぼそのまま残っていることが魅力のひとつ。そんな歴史的な建造物と雪のコラボはたまりません。昔のお侍さんもこの景色を見ていたのかもと思うと心躍ります。
◆ハートの枝も桜のトンネルも真っ白に
弘前公園には「桜のハート」と呼ばれる枝の形でハートを描いている場所があります。いちおう場所は非公開となっていますが、弘前市民なら誰もが知っています(たぶん)。そんな「ハートの枝」も白いハートになっていました。
西濠にある、桜のトンネルと呼ばれる散策路も白い雪のトンネルになっていました。春になれば、ソメイヨシノが咲き誇り、まさに桜のトンネルとなる場所です。
濠もまた弘前公園の美しさのひとつです。濠と着雪した白いソメイヨシノが美しいです。
◆雪景色はなぜこんなにも心をつかむのか
公園内を散策していたのは22時くらいでした。夜の公園ということもあってか、すれ違う人は誰もいません。弘前公園を独り占めです。音のない雪景色。自分の呼吸音、雪を踏む音だけが響く世界。白い息と痛いほどの寒さ。雪国ならではの体験ではないでしょうか。
この美しさに言葉をつけたいと考えながら帰路につきました。「雪桜」「冬桜」「スノーコットンズ」と、いろいろなアイデアをすでにもらいましたが、みなさまならどういう言葉をつけますか? 音のないモノクロの雪の情景。そして、朝には溶けて消えてしまうような雪のはかない美しさ。まずはぜひ見てもらいたいです。
ちなみに写真はすべてスマホの撮影です。今のスマホはとても優秀。撮影するコツとして街灯を利用すること。みなさまも一年に数えるほどしか見ることができない弘前公園の幻想的な雪景色に出会えることを願っています。
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