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岩木山麓でメープルシロップづくり――山育ち、今は山遊びの達人の《冬の暮らし編》――

     ▲「メープルハウス山村²」の商品「芽吹樹の雫」

ホットケーキに、ヨーグルトに――さらっとした甘さのメープルシロップ、おいしいですよね。樹液で作ることは知っていましたが、カナダでしかとれないと思っていた私です。

この弘前の岩木山の麓でメープルシロップを作っている人がいると知り、1月の晴れた日曜日、「メープルハウス山村²」のオーナーをたずね、イタヤカエデの樹からの採取、樹液をストーブで煮詰めている工程を見てきました。


相馬芳廣さん(70歳)がその人です。
相馬さんは青森県碇ヶ関の山奥で生まれ、育ちました。

退職後、イタヤカエデの木がある山林を探し求めること15年。ようやく現在の土地を取得したのは、2017年でした。

▲樹液を採取しているイタヤカエデのまえで相馬芳廣さん

樹齢70~80年、幹の直径は40センチくらいのイタヤカエデおよそ50本から、冬に樹液を採取しています。
自分の土地だけでは15本くらいしかないので、近くの山林の所有者に「木を貸してください」とお願いすると、大変驚かれたそうです。
今年は、80ミリグラムの小ビン250~300本を生産することを目標にしています。

▲昨年採取した穴は自然に閉じているイタヤカエデの幹

樹液は、例年2月ごろから採っていましたが、今年は1月早々から採り始めました。イタヤカエデに穴をあけ、容器をセット。雪や雨のしずくが入らないように工夫しています。樹液がたまっているかどうか、天候を見ながら雪を踏んで春さきまで、木を見回ります。

▲幹に直径1センチくらいの穴をあけ、パイプを差し込んで樹液を採取

採った樹液は4時間近くストーブで煮詰めていきます。
糖度20度くらいになるまで、薪を切らさず強火で炊いていきます。

その後、火力が一定しているプロパンガスを使用して2時間くらい煮詰め、糖度65度になったら完成です。

▲ここで20度まで煮詰める。この日は夜中の1時ごろからストーブに薪をくべました

▲糖度計――現在使用しているのは上の器械


▲イタヤカエデの樹液でコーヒーを

煮詰めている途中の樹液で、相馬さんがコーヒーを入れてくれました。
ほんのり甘く、今まで味わったことのないようなコーヒー、体が温まりました。

▲冬の陽射しがさしこむ玄関先のストーブ前で相馬さん

メープルシロップづくりが終わると、春にはワラビ採り、夏はキャンプ場をオープンし、豊かな湧き水でイワナを養殖、秋にはアケビ細工や木工品を手づくりするなど、山からの恵みを受け取って暮らしています。

〝こんどは何をつくろうか”――ユニークなものを発想したり、それにどんな名前をつけようか夜な夜な考えたり、それが相馬さんのよろこびだと言います。

「どんころキャンドル」――何だかわかりますか? 若いスギの幹を30センチくらいにカット、皮をはがしつるつるに。タテに十字に切れ目を入れ火をつけると、まるで巨大なろうそくに。


▲どんな灯になるのか?

明かりのない雪の夜、真っ赤に燃え上がるどんころキャンドル。その炎を眺めながらお酒を飲むと、うまい、うまい!

岩木山麓の冬の夜が過ぎていきます。


ここがどこにあるか―――

岩木山麓のメープルシロップがほしい方は「さがして来てください」と、相馬さんは言いました。


▲相馬さん手作りのメープルハウスの看板