~弘前の老舗のアイス店を紹介 第1弾~【藤田アイス】弘前の「カランカランアイス」を守っていきたい
弘前市民なら誰もが知っている「カランカランアイス」。弘前さくらまつりや夏の暑い日に現われる青いリヤカーは、弘前公園の風物詩です。今回は、弘前の「カランカランアイス」を製造する、藤田アイス店の藤本レイ子さんにお話を伺ってきました。
◆お店の歴史と創業のきっかけは?
もともとは両親が現在のアイス製造工場がある紺屋町でリンゴ問屋を営んでいました。業務用の冷凍庫があったこと、氷を取り扱っていたこと、弘前公園に近いこと、敷地が広いことなどの条件から、行商アイスの売り子さんから「アイスクリームと屋台をここに置かせてくれないか?」と頼まれるようになりました。
そのうちに、いっそのことアイスクリームの製造自体を現在の場所でやってくれないかと売り子さんからの要望を受け、アイスクリーム製造においては全くの素人だった母が製造を決意したのがはじまりです。今からおよそ50年前の話です。小さな機械一つから始まったアイスクリーム製造は試行錯誤の繰り返しだったようで、母と売り子さんたちの熱い気持ちが今の藤田アイスを作ったと聞いています。
◆行商アイスへのこだわりを教えてください
藤田アイスといえば、売り子がリヤカーを引いて売り歩く「行商スタイル」。創業のきっかけともなった売り子との繋がりを今でも大切にし、当時から変わらず行商スタイルでの販売にこだわり続けています。
アイスは、炎天下で販売しても溶けにくいように少し固めに作っています。今一番人気のリンゴシャーベットは、おいしさを追求してリンゴの果汁をたくさん入れると、溶けやすくなるのが問題でした。試行錯誤の結果、溶けにくく、でもリンゴのおいしさが詰まっているリンゴシャーベットになっています。
▲購入したリンゴシャーベット。へらですくってコーンに盛りつけてくれます
◆今後の目標を教えてください
わたしは屋台アイスをなくしたくないです。弘前の風物詩を守りたい。今はいろんなアイスがあるけれど、弘前市民の皆さんが小さい頃から食べてきたレトロなアイスを次の世代につなげていこうと考えています。
~取材を終えて~
取材に訪れた日、工場に併設する小屋前に学校帰りの高校生が座っていました。友人同士でおしゃべりしながらゆっくりアイスを食べる制服姿がとても印象的でした。
暑い夏の弘前公園では、売り子が手際よく盛りつけるアイスをわくわくしながら待っている子どもに、「落とさないよう気をつけて」と声をかける親子連れをよく目にします。
そういえば、大学入学直後、サークルの先輩と仲良くなったきっかけは、さくらまつりでおごってもらった「カランカランアイス」でした。
昔から変わらない「カランカランアイス」には、市民全員、あらゆる年代ごとの思い出があるのではないでしょうか。
「カランカランアイス」は弘前に暮らすわたしたちが、いつまでも大切にしていきたい宝物です。