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弘前のおいしいものはりんごだけではない。「毛豆」のおいしさを全国へ

枝豆は夏にたくさん食べられますが、弘前を中心とした津軽地方には、一般的な枝豆の旬とは時期が少しずれ、秋になると旬を迎える「毛豆」があります。「毛豆」は枝豆の一種で、その名から察することができるように、さやをびっしり覆う茶褐色の毛が特徴。豆は大粒で、ほくほくした食感、甘みが強く濃厚なうまみと香りがあります。


▲茶褐色の毛がびっしりとついた「毛豆」

毛豆はそれぞれの農家で受け継がれてきた在来種

 「毛豆」は、農家が自分たちで食べるために育てていたものだったそうです。地元のスーパーや朝市などで売られていますが、ほとんど県内で消費され全国的に流通はしていません。朝市で野菜を売っている農家になぜ毛豆を栽培して売らないのか聞いたことがあります。「りんごの収穫時期と重なるから、毛豆まで手がまわらない」とのことでした。

しかし、りんごの収穫で忙しい時期でも「毛豆」を栽培・販売している農家もいます。齊藤勝仁(かつひと)さんがその一人。代々続くりんご農家に生まれましたが、県外に就職。現在はUターンして実家でりんごを栽培しながら、りんごの収穫の合間をぬい、収穫の一部に機械を使うなどして、「毛豆」の販売にも力を入れています。

齊藤さんの「毛豆」には、ゆでるコツなどを紹介するイラストが、購入した箱の中に入ってきます。

齊藤さんの「毛豆」へのこだわりは、徹底した鮮度と品質の保持です。収穫した「毛豆」はすぐに冷蔵庫へ。販売用の「毛豆」は1さやずつ選別します。リピーターが多く、齊藤さんの「毛豆」を求め、シーズンを待っている人もいるそうです。

また、「『毛豆』、津軽を離れて暮らす人が買ってくれて、懐かしい味!とリピートしてくれる。これだけでも在来種をつなぐ意味があると思う。簡単に故郷に帰れないご時世だからこそ、誰かが故郷を思い出させる味を作る意味がある。」と齊藤さんは言います。

ゆでたて(齊藤さん提供)

◆受けつがれる味

最近は「毛豆」の食べ方として、オリーブオイルで炒めたペペロンチーノ風などアレンジがあるようですが、一番おいしいのは、塩ゆで。今はさっとゆでて冷凍しておくと数カ月後でもおいしい状態で食べることができますが、冷凍技術がなかった時代は、大豆として保存するだけではなく「豆漬け」としても食べられてきました。

▲豆漬け

軽くゆでた「毛豆」を塩漬けにし、保存食として受け継がれてきた食べ方です。ゆでた「毛豆」も、「豆漬け」も弘前を離れた人のソウルフードの一つではないでしょうか。

◆他の枝豆と比べてみる

いろいろな枝豆を買うことができたので、食べ比べてみました。
だだちゃ豆は、ほかの豆と比べると小ぶりで、さやに茶褐色の毛があります。香りが強く食べると上品な甘さが口に広がります。7月下旬から収穫される極早生(ごくわせ)から9月中旬の晩生(ばんせい)があります。ゆかた娘は、さやの色がほかの豆と比べうす緑色。さわやかな香りと味。中生(なかて)種で、主に8月に収穫されます。あおもり豊丸は、青森県が改良した毛豆の品種で8月下旬から収穫されます。ゆかた娘と毛豆の中間の見た目。毛豆よりやや小ぶりですが、甘みが強いです。右はしの毛豆は、茶褐色の毛が多くさやも大きいです。香りが強く、ガツンとした甘みがあります。9月中旬から10月上旬が旬。夏ではなく、秋を感じる味になります。
(収穫時期は、植え付け時期によって多少のずれがあります。)

▲枝豆のいろいろ
左から「だだちゃ豆」、「ゆかた娘」、「あおもり豊丸」、「毛豆」

「毛豆」は一度食べ始めれば、手がとまりません。栗のようなほくほく感と甘みがやみつきになること間違いなし。もし見かけたら購入いただき、まずはシンプルに塩ゆでしてみてください。今まで食べた枝豆とは違う甘みに、きっと感動していただけると思います。