わたしの土手町シリーズ⑤ 放課後は、スペインで。
土手町に最も頻繁に通っていたのは高校時代。なにせ、学校からの帰り道だったのだから、当然といえば当然だ。
書店、CDショップ&楽器屋、ゲームセンター、ファストフード(かつてミスドがあったのだ)など、一直線でハシゴできたのだから、とても恵まれた環境だった。
特にお世話になったのは「スペイン」ことゲームセンター「スペースイン」。
勉強そっちのけで格闘ゲームに熱中し、店舗奥に設置された、まさしく正真正銘のカラオケ「ボックス」で熱唱したものだった。
ある日、歌いまくって小腹が空いて、ピラフを頼んだら、おそらくレンジでチンしただけの品が運ばれてきた。バイトのお姉さんが「私が作ったんだけど、美味しい?」といたずらっぽく聞いてきた。お調子者の僕は、芯が凍ったままの米粒を噛みしめながら「すげーうまいよ!」と叫んでいた。
閉店したまま今もある店舗を横切るたび、思い出すそのワンシーン。
ひょっとして、あれは恋だったのかな?
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