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雪かき大嫌い地元民が、消流雪溝を使ってみたら雪かき大好きに生まれ変わった件

▲弘前某所、冬の早朝。雪と戯れる(闘う)ことから一日が始まる

■弘前ぐらし。それは雪と向き合うこと

弘前での生活を検討される人にとって、冬の雪事情は大きな関心事だと思います。その中でも、雪かきに求められる時間や労力は、懸念事項の上位に来るのではないでしょうか。

さて、生まれも育ちも弘前市の私。雪かき、はっきり言って、大っっっっっ嫌いでした!
ギリギリまで寝ていたい。寒いのは嫌い。朝から疲れるのは勘弁・・・と思いつつ、しぶしぶ雪かきして生きてきました。

ところが、ここ数年、雪かきがさほど苦じゃなくなり、それどころか大好きと言ってもいいくらいの心変わりがありました。
われながら、なんでだろう、と不思議に思える心境の変化。その要因は追究していくといくつかあるのですが、大きなものに「消流雪溝を使うようになった」ことが挙げられます。

ということで、今回は、雪かき大嫌い人間を雪かき大好き人間に変えるほどの可能性をもつ「消流雪溝」を紹介します!(効果には個人差があります)

 

■雪かきは「集める」「捨てる」の2工程

消流雪溝を紹介する前に、雪かき未経験の読者もいるかもしれませんので、雪かきの流れから確認しましょう。

①積もった雪をかき集める
積もった雪は、雪かき用のスコップやスノーダンプで敷地の一角などにかき集めます。スペースがある限り、ひたすら雪を積み上げます。雪山が大きくなるにつれ、急な勾配の傾斜を重力に逆らって雪を積み上げる必要が生じ、体力の消耗が激しくなります。

▲一晩に降った雪を積み上げてまとめた様子

雪をかき集めてまとめておくスペースはさまざまで、一度にドカッと大雪が降れば、その時点で飽和する場合もあります。いずれにせよ、雪を積める限界が来ると、どこかに雪を捨てなければなりません。

②かき集めた雪を捨てる
雪かきは「雪をかき集める」の次に「どこかに雪を捨てる」工程も必要になる場合があります。雪を捨てる場所は、町会が設置している雪置き場だったり、弘前市が指定する雪置き場などがあります。

例えば私の場合、自宅から50メートルくらいの場所に近隣住民で雪を捨てられる場所があるので、何往復もして、雪を直接捨てています。徒歩圏内に捨てられる場所があるだけ便利といえば便利なのですが、微妙な距離と往復回数が地味にきつく、雪かき嫌いとなる理由のひとつでした。

そんな私にひとつの転機が。4年前に異動した職場は敷地をすべて職員が人力で雪かきする必要がある所なのですが、職場の目の前には「消流雪溝」がありました。
消流雪溝は、雪を「集める」「捨てる」がセットになっていて、1工程で雪かきが完結するため、労力がグンと軽減される、(私にとっては)夢のような雪対策インフラだったのです!

 

■消流雪溝の近くに住むと、雪かきの労力が全然違うよ

▲春夏秋には存在感がない、一見ただの側溝のふた。冬になると大活躍

消流雪溝は、ふたに取っ手がついていて、簡単に開閉できます。底には水が溜まっています。この水、積雪時期以外は流れておりません。水が流れていれば使用OKのサイン。ふたを開けて雪を落とすと、雪が融けて水に流されていくのです。

消流雪溝に雪を投下した最初の瞬間の感動は忘れられません。
スノーダンプいっぱいに積んだ雪を投下すると、雪はほろほろと崩れ、その後流しそうめんの如く流れ、瞬く間に視界から消えていくのです!

自宅での雪かきと比べ、消流雪溝は、スノーダンプを水平に押して、投雪口で下に傾け重力の力を借りて雪を落とすだけ。これを楽といわずしてなんといいましょう。

▲消流雪溝使用中は、歩行者が誤って落ちないように、コーンなど目印を立てておこう

弘前に移住する予定だけど、雪かきの労力をできるだけ抑えたい、という人は、消流雪溝が利用できる場所を物件の条件にしてみるのも、ひとつのアイデアかもしれませんよ。

 

■消流雪溝の注意点

とても便利な消流雪溝ですが、使用する際には、いくつか注意点があります。

①消流雪溝の場所がわからない時がある
大雪の時に積もった雪や、除雪車が出動した際、路肩にどうしても残してしまう破砕された固く重い圧雪の残骸に、消流雪溝が覆い隠されてしまい、見つけられない時があります。

▲この雪の下のどこかに消流雪溝がある。雪かきの前にまず発掘

②ふたが開かなくて絶望的な気分になる時がある
消流雪溝のふたは、通常であれば難なく開けられる程度の重さです。しかし、ふたと外枠の間に雪が凍りついていると、話は別。力自慢の人でも、ビクともしない時があります。便利な消流雪溝も、ふたが開かなければ使いようがありません。

では、どうやって、凍った消流雪溝のふたを開けるか?
弘前市のホームページでは、お湯をかけて凍り付いた雪を溶かす方法が紹介されています。
冬の時期の消流雪溝がある地域で所々見かけるのは、ビニール袋などをふたと外枠の間に嚙ませている光景。そうすることで、ふたと枠の金属部分が氷でくっつかず、開けやすくなります。ただしこの方法を弘前市は推奨していません。なぜなら、ふたが閉じている時に通行人が露出したビニールを踏んだ時に滑って転倒するリスクがあるからです。

ちなみに私は、消流雪溝の凍ったふたを開ける時、バールを使っています。といっても、力づくでこじ開けるのではありませんよ。そんなことをすれば消流雪溝のふたや外枠が傷ついたり歪んだりしてしまいます。
バールを消流雪溝のふたと外枠の隙間に差し込み、軽い力で数回揺らします。そうすると、ふたや外枠を傷つけることなく、こびりついた氷が剥がれます。氷さえ剥がれれば、取っ手を持ち上げると容易にふたが開きます。

▲バールを使う時は、ソフトタッチで優しくしてね

③水が流れていない時は、そっとふたを閉じよう
消流雪溝のふたを開けたら、水が流れているか、確認しましょう。
雪が降り始めて間もない頃だと、まだ消流雪溝の水が流れていない場合があります。
水が流れていない時は、使用をあきらめましょう。この時、自分の土地の雪だけ落とせればいいや、と雪を投下して消流雪溝の内部を雪でパンパンに埋めてしまうと、その後、水が上流から流れ出し、あなたが落とした雪で堰き止められ、下流に水が流れなくなります。消流雪溝は地域住民共同の設備ですから、自分本位な使用は絶対NGです。

▲さっきまで流れてたのに、気付けば流れが止まっていることも。水流は常にチェックしよう

④ふたを閉じる時にも、ちょっとした気配りを
積もった雪をすべて消流雪溝に落としたらふたを閉じて雪かき終了となるわけですが、この時、ふたの裏側や縁、ヒンジ部、外枠などについた雪をきれいに落としましょう。そうしないと、雪がすき間にはさまって、ふたが水平に閉まり切らずに盛り上がってしまいます。歩行者にすればとても危険な段差になります。加えて、雪が大量にこびりついたままだと、ふたが強固に凍り付いて、次回のふた開けがとても困難になってしまいます。

▲雪かき作業終了寸前の消流雪溝。このまま閉じるのはダメ絶対

歩行者のため、共同で使用するご近所さんのため、そして翌日以降も使うであろう自分自身のためにも、ふたを閉じる時には丁寧に雪を落としましょう。

▲きれいに雪を落とすと、ふたが閉まりやすく、次回も開けやすくなる

 

■雪かきは大変だけど、メリットもある

消流雪溝は、使用する前後やその時の状況により、特有の配慮や労力が求められる部分もありますが、雪かきの負担がだいぶ軽減される便利な設備です。雪かきが嫌いで仕方がなかった私でも、前向きに雪かきに向き合えるようになりました。
結局雪かきは、凍えるような寒さと、時には吹雪の中で課せられる雪国特有のつらい作業です。ネガティブな面だけ見てしまうけど、雪かきにはメリットもあります。最後にいくつか、雪かきのメリットを紹介します。

例えば、雪かきは力仕事ですが、全身を動かす有酸素運動にもなるので、冬の運動不足解消にうってつけ。特にダイエット挑戦中の方にはおすすめです。なぜなら、エクササイズや筋トレはサボることができるけど、雪かきはサボれないから。
また、雪かきは、ご近所さんとのコミュニケーションをとる良い機会でもあります。「おはようございます!」「今朝もずいぶん降ったね」「今日の雪は重いですね」などと声をかけあいます。普段は顔を合わせる機会が少ないご近所さんとも、雪という共通の話題で会話が弾みます。

個人的には、大量に積もった雪をきれいに片付けた後の充実感・達成感がたまりません。前の日から引きずっていたささいなストレスや悩みが、黙々と雪かきしているうちに、消流雪溝に投げ落とす雪とともに消えていった、なんてこともよくあります。

弘前で暮らすということは、雪と向き合うことにほかなりません。これから弘前に移住する人で雪かきが不安な人、移住したばかりで最初の雪かきで苦労した人などは、例えば消流雪溝の近くに住まいを確保するなど、雪かきのハードルを下げる方法を検討されてはいかがでしょう。そして、どうせ避けられないなら、自分なりの雪かきのメリットを探しながら、雪かきに臨んでみませんか? 雪かきもまた、弘前ぐらしの醍醐味のひとつかもしれませんよ。


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