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日本一を目指す笛吹きの大会「全日本横笛コンクール」を見に行ってみた!

△コンクールの出演者、審査員の皆さん

 

弘前は、ねぷた囃子(ばやし)や登山囃子、津軽神楽などが多く伝承され横笛に親しむ人の多い所。

今年も、横笛に特化したコンクール「第八回全日本横笛コンクール」が6月10日、11日に開催されました。

プロ奏者を輩出する登竜門として日本各地からたくさんの笛吹きが集まるイベントとは? 会場に行き、2日間をレポートしてきました!

※横笛とは、横に構えて吹く笛の総称。ここでは日本の横笛(篠笛・竜笛・高麗笛・神楽笛など)を指す。

△コンクール会場 弘前のヒロロ4階 弘前市民文化交流館ホール

 

 

◆プロアマ入り乱れる混戦会場

コンクールで演奏する曲は課題曲のねぷた囃子と自由曲の2曲。自由曲は何でも良く、トラディショナルや参加者が作曲した曲やプロ奏者の楽曲、歌謡曲などさまざまであった。本選の自由曲は予選より演奏時間が長く設定され、同じ曲をアレンジしたり、別の曲を使用したりしても良いとのこと。伴奏の音源使用もでき、今年から太鼓、キーボードの貸し出しが可能となっていた。

6月10日は一般クラスの予選。一般非公開であるが取材のために入場許可がでた。静まり返る会場に響く笛の音。息継ぎの音も聞こえ、予選にかける熱意と緊張感が舞台上から伝わってくる。4時間があっという間に感じられた。プロとして活躍中の出場者もおり、いずれ劣らぬ笛奏者で、翌日の本選の苛烈さを容易に予測できるくらいの演奏だった。

△6月11日の本選会場。筆者到着時は早かったので空席があったが、始まる時には満員に

 

6月11日午後は有料観覧として一般公開される。午前中開催のエントリークラスの優勝者の演奏を皮切りに、一般クラスの決勝進出クラスの磨きのかかった曲を聞くことができた。課題曲のねぷた囃子、同じ曲なのに奏者によって個性が違う。さすが、全国から集まっただけあって、いろいろな吹き方や技術があり聞きほれてしまう。笛は運指、音の強弱、ブレスなどを使って情感豊かな表現ができる。幽玄にも重厚にも軽快にも。一音でどっぷりと引き込まれる。リズムの良い曲の時はノリノリになって身体を揺らす観客もいた。コンクールであるからには結果も気になるが、もう全員優勝で良いと思うほどだった。

コンクール優勝は平川市在住の今力也さん。自由曲は「瀬戸の花嫁」。まさに笛が歌っているよう。津軽出身の優勝者に筆者は何となく誇らしい気持ちになった。

△優勝者の今力也さん。

 

表彰式の後、全員でねぷた囃子を演奏。会場があっという間に一体感に包まれる。舞台と客席で皆で吹く姿は壮観だった。

△全員でねぷた囃子

 

 

◆全日本横笛コンクール実行委員会の佐藤ぶん太さんへのインタビュー

―――コンクール開催のきっかけを教えてください。

「弘前ねぷた、ねぷた囃子を全国の人たちに知ってほしかったですね。コンクール開催をきっかけに、課題曲をねぷた囃子にしたのはねぷたに興味を持ってもらえるかもしれないという狙いがあります。横笛を通して弘前の認知度を高めたいし、弘前を好きになってほしいです」

 

―――今年で8回目ですね。続けるための工夫や苦労されたことはありますか?

「募集は、一般クラス、エントリークラス(キャリア6年未満または中学生以下)に分けました。経験が浅くても参加でき、たくさんの奏者にチャンスがあればと考えました。また、コロナで移動制限があったときはインターネットでのコンテストを開催しました」

 

―――初回からこれまでの年月の経過にどのような感想をお持ちでしょうか?

「回を重ねるごとに奏者のレベルが上がってきています。中にはコンテスト上位入賞をきっかけとして指導者、プロとして活躍する方もいます。スタイルが違っても、互いを認めて向上すればもっと日本の横笛文化は広がって行くと思うし、世界に波及してほしい。コンテストに出場することで奏者同士の交流が生まれ、横のつながりができることは、開催者としてうれしいですね」

 

―――これから横笛を始める方にメッセージをお願いします

「どこから興味を持ち始めても良いです。僕は弘前にいるので、やっぱりねぷたまつりを体験して、じゃわめく気持ちを体験してほしい。お祭り、という非日常にある心揺さぶる体験を、奏者として参加し、体験してほしいですね。コンクールを通して弘前ねぷたが多くの人に伝わってほしいと思っています」

△津軽笛奏者 佐藤ぶん太さん

 

△審査員 伊藤賢治さんとのコラボ演奏。盛り上がりました

 

△会場内ではいろいろな横笛の販売もあり、試奏も可能

 

 

◆出場者にインタビュー

長野県から参加の百瀬弥生さんに話を聞いた。予選での演奏後、まだ緊張の残る面持ちであったが微笑んで回答してくれた。

―――コンクール参加の魅力は何でしょうか?

「オンライン開催から参加し、今年は2回目の弘前訪問となりました。コンテストを通じてたくさんの方と知り合えたのがうれしく、いろんな地方の笛仲間と弘前で会えることが本当に楽しみです。いつか夏の弘前ねぷたを体験したいです」

 

◆取材を終えて

毎年見るたびに、音楽としての横笛のありようを考えることができるコンクールだと感じる。横笛万年初心者の私でも参加者の皆さんがどれほどの努力をして舞台に立っているかわかる。表彰式後の審査員の講評にもあったが、年々演奏レベルが上がっているという。

プロを目指す登竜門として上位入賞を目指す厳しさもあるが、笛を通した仲間を作ることも参加の目的のひとつとなっている。改めてコンクールの求心力の凄さを感じた。皆さん本当にすばらしい演奏だった。これからも「笛バカ」が集い競うイベントとして続いてほしい。観客として多くの人にぜひ足を運んでほしい。いろいろな笛文化を知ることで、各々の地元の良さを感じられるのではないだろうか。

弘前を発信源とする横笛文化のつながりは着実に広がっている。

 


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