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大好きな郷土料理「けの汁」を初めて作ってみた!

初めまして!弘前ぐらし市民ライターの成田です!

冬の朝は布団から出るのがおっくうですが、朝の冷えた体も温めてくれる弘前の郷土料理に「けの汁(しる)」があります。
今回、「けの汁」を祖母に教わりながら作ったときの様子について書いてみます。
この記事を読み終わるころにはあなたも「けの汁」を食べてみたくなっているかもしれませんよ!

◆冬がやってきた!「けの汁」だ!

弘前育ちの私の、冬の楽しみの一つといえば「けの汁」。お正月が近づくと祖母に頼んで作ってもらっています。栄養も具材もたっぷりの「けの汁」をストーブの前ですするのがたまりません。

けの汁」って?

「そもそもけの汁ってなに?」そう思っている方もいることでしょう。
「けの汁」とは青森県津軽地方で主に冬に作られる郷土料理です。具だくさんなのが特徴で、入れる具材や味付けなどは家庭によって違っています。
また、弘前商工会議所によると小正月と深く関わっていて、もともとは精進料理であったそうです。
では、「けの汁」という名前は何に由来しているのでしょうか?
農林水産省によると、粥のことを津軽地方では「け」と呼ぶことから「けの汁」という名前になったそうです。
私は「けの汁」が大好物ですが、名前の由来は初めて知りました!津軽弁と関係がある名前だったんですね。

◆どんな具材が入っているの?

「けの汁」のルーツがわかったところで、皆さんにより深く「けの汁」を知ってもらうためにその具材について紹介します。
私の家庭では、大根・ニンジン・ゴボウ・ふき・わらび・凍み豆腐・大豆・こんにゃく・昆布、油揚げが主な具材。
祖母曰く、七草がゆのように必ず7種類以上の具材を入れていて、一年の健康を祈る意味も込めているそうです。

けの汁」を実際に作ってみた!

「けの汁」について理解が深まったところで、作る工程やその様子などを紹介していきたいと思います。

まず、わらびやふきを水に2時間ほど浸しておきます。春に採り、塩漬けして保存しておいたわらびや、ふきの塩っ気を取るためにこの作業(塩抜き)をするそうです。毎年この工程を見ていましたが、その理由を知りませんでした。季節を越えて保存してきた食材を使っていると考えると、「ぜいたくだなあ」と感じました。

▲塩抜きのためにわらびを水に浸す

「けの汁」の良さを引き立たせているのは、具材の切り方だと思っているのですが、この具材を切る工程がとっても大変でした…。
全ての具材をさいの目に切るのですが、私の家族は人数が多いため、一度に大量の「けの汁」を作ります。そのため、必要な具材の量が多く、すべて切り終わるのに約3時間…。これを毎年祖母が一人でやっていたと思うと驚きしかありません。
この具材を切っている間に祖母が「けの汁」の美味しさの秘密を教えてくれました。それは、具材のひとつに昆布があるのですが、その昆布を切る前に一度ストーブで炙るというひと手間を加えること。「けの汁」の味に深みを感じられるのはこれが理由だったのかと納得!
具材を切っている間に昆布でだしを取っておき、その後苦労して切った具材たちを一気に鍋に入れてぐつぐつ煮込みます。切るのに苦労した分、煮込まれる様子をじっと見てしまうほど、とても愛着が湧いていました。

▲さいの目に切った具材を煮込む様子

ある程度火が通ったら、大豆を投入します。この大豆の量が「けの汁」の出来を左右するみたいです。少なすぎず、多すぎず…。これは長年の勘で量を入れているそう。う――ん、すごい。

そして最後はみそでの味付けです。「けの汁」マニアの私が毎年、最後に味付けをチェックしているため、この工程は私に一任されました。「これで良い!」と思っても10分後にまた味見すると、味が変化しているのが難しいところです。
その後3回ほど味見と味付けを繰り返し…

ついに完成!!!
水にふきやわらびを浸したところから考えると約7時間…!
ほぼ1日がかりで完成しました。
こんなに時間がかかって作られているとも知らずに勢いよく食べていた過去の自分を少し恨みそうになりました…

でき上がった「けの汁」を家族に食べてもらうと、「おいしいじゃ!」や「大変だったべ~」と言ってもらい、作って良かったと感じました。

◆津軽地方で食べ続けられているけの汁

我が家の「けの汁」のレシピは代々受け継がれてきたものだと祖父に教えてもらいました。入れる具材や味付けの仕方など、その家庭によって異なっているようで、この大好きな我が家の味を絶やしてはいけないと責任を感じました。毎年祖母に「作って~」とおねだりする、「けの汁」の魅力を再確認するとともに、手間暇かけて作られていることに気づき、感謝するきっかけにもなりました。津軽の人たちが食べ続け、いくつもの冬をともに越してきたこの郷土の味を、これからも弘前の魅力の一つとして残していきたいです!

津軽地方の冬の郷土料理「けの汁」を作ってみた体験を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?この記事を読んでくださった皆さんが少しでも「けの汁」に興味を持っていただけたなら幸いです。ぜひ皆さんも弘前で本場の「けの汁」をご堪能くださいね!

では、へばな~!(またね~)