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弘前の便利な公共交通「100円バス」(基本編)

◆車がマスト。それ、ホント?

弘前に限らず、地方、特に雪国は車社会のイメージが強いですよね。

私、市民ライター阿保(あぼ)は、高齢移住者の居住環境モデルにもなっている高齢者向け住宅にて、県外から移住される方や、地元在住の入居者(免許返納者が大半)の相談支援をしています。

移住に関する質問・相談の中でも「車がなくても生活できますか?」は、よくある質問です。

「住む場所と活動エリア、移動手段次第では十分可能性がありますよ。ただし冬の寒さや雪道に適応できるかどうかが大前提」と、あくまで個人的な考えだと前置きしつつ、私は回答しています。

可能性があるとお答えしているのは、実際に入居されている免許返納者が(少なくとも冬以外は)不自由なく生活されているのを目の当たりにしているからです。

弘前は人口約16万6千人(令和3年12月時点)、面積約524平方キロメートルの自治体ですが、生活に必要な都市機能(医療・福祉・子育て支援・教育文化・商業)が弘前駅を中心として半径約2.5キロメートル圏内に集約されており、コンパクトにまとまっていることが、特長の1つです。

ちなみに弘前駅から西側、弘前公園あたりまでのエリアが城下町として古くから整備されてきた「中心地区」です。都市機能がまとまっていることに加え、弘前城=弘前公園をはじめとする歴史・観光資源が豊富です。一方、弘前駅の東側は1970年代頃から開発が進み、現在では大規模商業施設が複数存在します。こちらは、弘前城から見て東側ということで「城東地区」と呼ばれます。

▲弘前駅西側が、城下町の頃から続く昔ながらの市街地。東側は、ここ半世紀で発展してきたエリアです

そして、中心地区と城東地区の両サイドで、コストパフォーマンスにすぐれ、利用しやすい公共交通「100円バス」が整備されています。この「100円バス」、なかなか便利なすぐれもの。入居者も「100円バス」をフル活用していて、それで生活されているんですね。

今回、弘前へ移住を検討されている方はもちろん、普段どっぷり車生活に浸かっている弘前市民にも、「100円バス」について知ってもらいたいなあ、という思いから、基本的な情報をまとめてみました。

◆「100円バス」基本情報

弘前の「100円バス」は弘南バス株式会社が運行しており、4路線あります。
①弘前駅-弘前公園方面を循環する「土手町循環100円バス」
②弘前駅-津軽藩ねぷた村-りんご公園間を走る「ためのぶ号」
③弘前駅の東側(城東地区)を走る「城東環状100円バス(大町回り)」
④同じく「城東環状100円バス(和徳回り)」

※「城東環状100円バス」は、駅の南側から反時計回りで進む「大町回り」と、北側から時計回りで進む「和徳回り」の2路線があります。

▲100円バスは、弘前駅を境に西側2路線、東側2路線走っている(画像協力 弘南バス株式会社)

「100円バス」は路線ごとに、観光に重点を置いた路線、日常生活に重点を置いた路線、その両方の性質を兼ね備えた路線と、性質が異なります。

弘前公園(弘前城)をはじめ観光資源が豊富で、都市機能も集約されている中心地区を運行する「土手町循環100円バス」は、観光客にとっても地元住民にとっても便利な路線です。弘前駅とねぷた、りんご関連の観光施設とを結ぶ「ためのぶ号」は、観光客に比重を置いた路線といえるでしょう。

「城東環状100円バス」は、百貨店をはじめ複数の大型商業施設への移動に便利な路線で、地元住民の買い物利用に適した路線となります。

▲100円バスの路線ごとの運行エリアと利用コンセプトのマトリクス図(ライターの主観であり、イメージです)

◆「100円バス」基本の乗り方

1.バス停は目印で確認

「100円バス」のバス停は、他の路線バスと区別しやすいように上部に目印となる表示がされています。特に、「土手町循環100円バス」の場合は、他の路線バスが停まらない専用バス停も多く便利です(「ためのぶ号」のバス停が付近にあるポイントが数カ所あるので、そこだけ注意しましょう)。

「城東環状100円バス」については、「大町回り」と「和徳回り」が共通である場合が多いですが、基本的に車線が異なるので進行方向に気を付ければ問題ありません。一部、「大町回り」「和徳回り」共通だったり、他の路線バスが停まったりするバス停もあります(例:さくら野弘前店)。

▲黄色バックに桜の花びらを背景とした100円硬貨のキャラクターが目印

2.運賃は後払い。現金のみの清算です

「100円バス」は前方のドアのみ開閉します。運賃は基本的に固定料金で100円(小学生50円、未就学児無料)。いずれの路線も、運賃は降車時に支払います。現金のみの取り扱いで、回数券や交通系ICカード、電子マネーは使えませんから、必ず100円玉を準備しましょう。両替機もありますが、5千円札、1万円札は使えませんので気を付けて。

▲財布に大きい札しか入っていないと焦ります

3.定額乗り放題の「1日乗車券」もあります。

「100円バス」には1日乗り放題となる乗車券もあり、弘前バスターミナルの総合案内所と弘前駅前案内所の2カ所で販売されています。事前に日にちを決めての購入も可能。大人料金500円なので、5回以上乗り降りするなら購入しておいて損はありません。ちなみに、最もコスパがいいのは300円で乗り放題となる中学生。小学生は200円ですが、もともとの運賃が50円なので4回以上の利用でトントンになります。

▲1日乗車券の販売場所は2カ所。取材時、購入後3回しか乗らず元が取れなかったのはここだけのお話

◆「100円バス」路線紹介

1.10分間隔運行! 本数の多さが魅力「土手町循環100円バス」

「土手町循環100円バス」は弘前駅方面から土手町商店街を抜けて弘前市役所(弘前公園)に向かい、文化センターから弘前駅へと戻ります。この路線の最大の特長はなんといっても本数の多さ。10分間隔でバスが来るので、長時間待つ必要がありません。運行時間(弘前バスターミナル出発時刻)は10時~18時。冬季(12~3月)は最終便が17時になります。

▲弘前公園へ向かう観光客、市街地移動に使う弘前市民両方に対応できるすぐれもの (画像協力 弘南バス株式会社)

「土手町循環100円バス」のバス停は全部で21カ所設置されており、わかりやすく番号が振られています。そのうち7カ所(5~11)が、江戸時代から続く「土手町」という地区に設置されています。「土手町」の中でも8~11までの区間が一方通行となっています。

「土手町循環100円バス」が弘前市内の他の路線バスと異なる点としては、次の停留所を示す液晶画面が多言語表示されていることです。インバウンド仕様ですね。

▲インバウンドを意識した表示。バスに乗りながらちょっと語学を勉強した気分になれる

「土手町循環100円バス」で移動しやすい主要な施設を紹介します。
・弘前駅
・弘前市立病院
・土手町商店街(区間内7カ所で停車するのでお好みの場所で降りましょう)
・弘前れんが倉庫美術館
・中三弘前店(土手町内にある百貨店)
・土淵川遊歩道(弘南鉄道中央弘前駅へ通じています)
・弘前大学医学部附属病院(建物入口前に停車するので便利)
・弘前市役所
・弘前公園(弘前公園南側の出入口「追手門」近くで降りられます)
・イトーヨーカドー弘前店&弘前バスターミナル(併設されています)
・弘前文化センター(令和5年3月末まで改修工事予定で休館中)
・虹のマート(市場/イトーヨーカドー弘前店裏)
・ヒロロ(商業、行政、子育て支援などが入る大型複合施設)

2.観光に特化した「ためのぶ号」

▲「ためのぶ号」は弘前バスターミナルから終点のりんご公園まで約40分の行程(画像協力 弘南バス株式会社)

「ためのぶ号」は、ねぷたをテーマとした「津軽藩ねぷた村」とりんごをテーマとした「りんご公園」、2つの観光施設への移動に便利な路線です。この路線は走行距離が長いため、乗降区間によって運賃が200円になることもあります。

往路・復路ともに1日4便で、9時台から15時台にかけて2時間おきに運行します。冬季(12~3月)は運休となっています。

3.城東エリアの主要な商業施設を網羅する「城東環状100円バス」

「城東環状100円バス」は、城東地区に複数ある大型スーパー、家電量販店、ホームセンターなどへの移動に便利な路線です。

経路が一方通行で循環する「土手町循環100円バス」と異なり、「城東環状100円バス」には弘前駅の南側から反時計回りで進む「大町回り」と北側から時計回りで進む「和徳回り」の2ルートが存在します。

「大町回り」と「和徳回り」は「弘前駅城東口」以降、進行方向が逆になるだけで、実質的に同一経路になります(終盤、再びルートが分かれます)。いずれも11時~15時台の間は30分に1本、それ以外の時間帯(11時までと16時以降)は1時間に1本のペースで運行します。

▲「城東環状100円バス」は、目的地によって「大町回り」「和徳回り」を使い分けることができる

「城東環状100円バス」の主要な停車ポイントを紹介します。
1 弘前駅城東口
2 カブセンター
・スーパー「カブセンター弘前店」
・家電量販店「ケーズデンキ弘前本店」
3 城東タウンプラザ
・スーパー「ユニバース城東店」
・家電量販店「ヤマダデンキテックランド弘前店」
・ホームセンター「DCMホーマック弘前城東店」
4 総合学習センター
・弘前市総合学習センター(学習情報館、東部公民館、教育センター)
5 さくら野弘前店
・百貨店「さくら野弘前店」
・ショッピングモール「ラフォルテ」

運行間隔が短い時で30分に1本ですから、「土手町循環100円バス」に比べると本数は少な目。ただしルートが重なっているエリアでは進行方向を選べるという点では、一方向にしか進まない「土手町循環100円バス」よりも使い勝手がいい場合もあります。城東地区の主要な商業施設が抑えられているのもポイントですね。

◆「100円バス」のポテンシャルはかなり高い。ただ雪国ということは忘れずに

10分間隔の運行がなんといっても便利な「土手町循環100円バス」や、城東地区の主要な商業施設などを網羅する「城東環状100円バス」は、なかなかにすぐれた公共交通です。「100円バス」を利用しやすい場所に住まいや活動拠点が確保できれば、車がなくても生活は大分しやすいといえるでしょう。

ただし、弘前はあくまで雪国。冬はふぶく日もあるし、歩道に雪も積もります。車なしでの生活は、冬の寒さや雪道に適応できるかどうかが大きな条件といえます。脅かすようなことを書きましたが、雪国の現実から目を背けるわけにはいきません。言い換えれば、弘前の冬に対応できるのならば、車なしの生活も可能性は大いにあるということです。

車や免許を持たずに弘前に移住をお考えの方は、移住前に必ず一度は冬の弘前を体験してみてください。そして「100円バス」に乗ってみましょう。

超ベテラン雪国ドライバーのシニア弘前市民でほとんどバスなんて乗ったことがないという方も、元気なうちにバス利用を試してみましょう。いずれ免許返納したとき、一気に行動範囲が狭くなってとじこもりがちになるか、バス+徒歩で行動範囲を広げることができるかどうかで、免許返納後の生活の質は大きく変わります。

また、若い方も時には車を降りてお出かけしてみませんか? CO2排出抑制や歩数アップによる健康増進にもつながりますし、子育て世代なら親子でバス移動も楽しいですよ。

今回は「100円バス」の基本的な情報をまとめてみました。
機会があれば実際に利用する場合のコツや注意点、さらには「土手町循環100円バス」と「城東環状100円バス」を乗り継いで弘前中心部を東西に横断する方法など、ディープに掘り下げた「実用編」を紹介してみたいです。