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「松森町津軽獅子舞」の演舞及びそれを支える人たち

◆松森町津軽獅子舞とは

津軽の獅子舞の始まりは、弘前市の松森町組で、藩の公認でその庇護(ひご)を受け、1682(天保2)年、弘前八幡宮の大祭に奉納して以来の伝統を持つと言われています。津軽の伝統芸能である「松森町津軽獅子舞」は、市指定無形民俗文化財に指定されており、その保存と継承が特に望まれているものであります。松森町津軽獅子舞保存会ではその保存と継承を考え、さまざまな事業を展開しているところです。

2021(令和3)年6月30日(水)に行われた、弘前市品川町 胸肩神社(むなかたじんじゃ)での奉納演舞の一コマです。通りを流しながら入場するのですが、神社へ入ると演舞の前におはらいを受けます。

▲胸肩神社宵宮 演舞前のおはらい

おはらいを受けた後に演舞に入ります。この日は20分以上演舞を続けていたのですが、観客の方々も珍しいのでしょう、スマホを向けている方が多数見られました。

▲胸肩神社奉納演舞 その1

▲胸肩神社奉納演舞 その2

◆松森町津軽獅子舞保存会会長談話

松森町津軽獅子舞保存会会長・松岡昭浩氏に、津軽獅子舞のこと、保存会のことを聞いてみました。

▲松岡昭浩会長

松岡氏は30~40年も獅子舞に携わるベテランで、今は指導的立場の人ですが、メンバーの都合により舞なども担当するそうです。保存会のメンバーは15人います。
他団体の獅子舞は男獅子(おじし)、中獅子(なかじし)、女獅子(めじし)、オカシコ、それに囃子方(はやしかた)となるのですが、ここの獅子舞はそれに番獅子(ばんじし)2匹が加わるため、他団体より人手を多く必要とするようです。

最初に練習についてお伺いすると、「獅子舞と言えば、厳しい指導や難しいイメージがあると思うが、今はそんなことはない。30~40歳代が中心となって、指導はファミリー的に行われている」と話します。
練習は積み重ねを大事にし、子どもたちとコミュニケーションをとり、友達同士の絆を持たせることを目指しているそうです。さらに将来の後継者のことも考えて、大成小学校に行き獅子舞のことを話し、その後子どもたちに見てもらうことを、毎年続けているそうです。
コロナ禍がなければ今年も旧正月に餅つき大会を催し、子どもたちに舞を披露する予定でいたそうですが、残念ながら昨年及び今年と中止になりました。

次に、松森町津軽獅子舞のPR方法をお伺いしました。毎年定期的に演舞をする時は、その都度来た方に「松森町津軽獅子舞」のしおりを配っているそうです。配布するしおりは「弘前市市民参加型まちづくり1%システム」を活用して作成し、主な配布の機会は、年2回(和徳稲荷神社・胸肩神社)の宵宮奉納、オオヤマざくら公園での舞初め・舞納め、その他慶事の依頼により演舞をする時などです。

下記写真は、松森町津軽獅子舞保存会が最初に作成したしおりです。こちらは第1弾で、2018(平成30)年に作成。松森町津軽獅子舞の、歴史や文化などをまとめ、練習日、連絡方法なども記載し、デザインにこだわったしおりです。

▲松森町津軽獅子舞しおり

松森町津軽獅子舞しおり第2弾として、「まつもりまちのししまい」を翌年に作成。内容は入門用として小さい子どもむけで、質問形式で獅子舞を紹介しています。イラストを多く使い、全てかな表記となっており、分かりやすく読んでもらう工夫がありました。

▲まつもりまちのししまいのしおり

また、フェイスブックを開設し、SNSによる情報発信に努めていました。練習時の様子を動画や写真で公開しているほか、演舞の開催情報なども発信しています。活動の雰囲気や祭りの様子が伝わってきます。

◆松森町津軽獅子舞保存会の活動について

活動面をみると、「五月の舞初め」「年二回神社宵宮時の演舞」「十月の舞納め」「その他慶事」とあります。さらには学区内の小学校に出掛けて獅子舞講座の開設。各地の獅子舞大会参加など、年間数回の演舞をこなしております。私もたまに演舞及びその後の反省会に参加することがあるのですが、参加の意志があれば混じって懇談の機会を得ることができます。

以前私が参加したときは名古屋から来たという方がいて、笛が欲しいという希望を聞き、会員の方が店を案内していました。参加している方の中には大学の先生も居り、専門の研究及び趣味で参加していることもありますが、産官学の一環がここでも生きているのかと感じた次第です。

最後に所属する会員についてお伺いしました。年配の指導者から子どもまで参加し、特に子どもは遊びながら参加しているということ。珍しくまたほほ笑ましく思えました。


▲親子で練習

以前女性は、裏方にいて表にはあまり出なかったのですが、現在は囃子方で笛や太鼓を担当し、さらに最近は獅子頭を被っている方もいるようです。
初めて練習をのぞいたときに、外国の参加者がいるのが目に付きました。日本人である私でも、このような伝統芸能の分野に足を踏み入れるには勇気がいります。それなのにこの人はどんなきっかけでこの世界に入ったのか、非常に興味をそそられるところであります。

最近は家業及び各団体において後継者問題があり、特に伝統芸能の面では深刻な事態です。後継者問題は当保存会でも例外ではなく、対策として子どもたちに目を向け小学校の教科で体験学習を設け、保存会員が学校で講習会を開いています。さらに毎月2回行われる練習日は、SNS及びパンフレットで一般参加の自由見学も認めており、常に門戸を開いた状態であります。

舞を見た方の中でやってみたいなと思う方もいると思いますが、伝統芸能の場合、敷居が高いと感じる人は多いと思います。
練習を見学もしくは参加していただければ分かるのですが、基本から分かりやすく説明しているので、気軽にお出でいただきまずは獅子舞に触れて下さいとのことでした。
現在会員数は多くはないのですが、4~5歳の子どもさんから高校生そして70歳代まで幅広い年齢層の人がおり、年代を超えて引きつける何かが獅子舞にはあるのだろうなと感じました。

松森町津軽獅子舞保存会では見学だけでも歓迎するそうですので、パンフレット記載の電話番号にご一報いただき、練習日である毎月第2第4木曜日に松森会館へぜひお出でくださいとのことでした。(2021年7月17日に取材)

松森町津軽獅子舞保存会 舞初め