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弘前公園が教えてくれた

弘前公園は、弘前市街地の真ん中に広がる緑地です。面積約49ヘクタールは、東京・日比谷公園の約3倍。津軽氏の弘前城跡が開放されたもので、今も城のほぼ全域が保存されています。江戸時代の天守が残っているのは、関東以北で唯一です。

弘前公園といえば、最も有名なのは、弘前さくらまつりでしょう。公園全体が圧倒的な量の桜に覆われ、訪れる見物客を魅了します。秋の弘前城菊と紅葉まつりと、冬の弘前城雪燈籠まつりもここで行われ、四季によって表情を変える弘前公園を楽しむことができます。

まつりはメディアなどに紹介されて知る人も多いと思いますので、私はそれ以外の弘前公園から学んださまざまなことを紹介します(以下、弘前公園を公園と略します)。

▲上空から見た弘前公園

◆歴史に興味を持つ

公園は私にとってとても身近な遊び場でした。小学5年生の頃、三の丸の坂道を登っていると、見慣れない標柱があることに気づきました。「賀田御門跡(よしたごもんあと)」。いつも通る亀甲門(かめのこもん)と同じような門がここにもあったのでしょうか。他にも園内にいくつか、新しい標柱が設置されていました。「昔はいくつ門や櫓(やぐら)があったのだろう」と、公園内にかつてはあった図書館の大人用閲覧室に、初めて入りました。昔の城内配置図を探し出し、時代によって建物の数や配置が変わっていたと知りました。「自分で調べるって楽しい!」。学校の勉強では感じない気持ちでした。これをきっかけに近隣の城跡を探したり、疑問を本で調べたりしているうちに、郷土史が、ひいては歴史が好きになりました。


▲現在の賀田御門跡の案内板。昔は、表面を削った丸太だった。

◆絵画鑑賞の楽しさを知る

1977(昭和52)年、公園内に弘前市立博物館が開館しました。近代建築の巨匠・前川國男氏の設計で、4つの展示室を備えます。津軽地方の歴史資料と美術工芸資料の企画展や、国内外の有名な作品などの特別企画展を定期的に開催しています。

開館時に中学生だった私は、あまり関心が持てないままに、毎回の展示を見に行きました。1981(昭和56)年、内外美術名品展で岸田劉生の「道路と土手と塀」(切通之写生)を、黒田清輝展では「湖畔」を見ました。どちらも、教科書などで知っていた絵で、本物を本州の端っこの地方都市で見られたのは、幸運としか言いようがありません。いつの頃からか、絵画展が待ち遠しくなり、アート鑑賞は今もなお、大切な趣味のひとつです。

博物館では、今年も特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」、企画展「弘前ねぷた展」などを開催しています。

▲緑に映える弘前市立博物館

◆植物で季節の移ろいを感じる

弘前城植物園は、公園内に1988(昭和63)年に開園した有料エリアです。10年ほど前に、通年券があることを知り、一年間有効でほんの数回で元が取れそうなので購入。当時の私は、植物の知識は皆無に近く、名前を知っている花は10種ほどしかありませんでした。

だからこそ、見るもの全てが新鮮で、次々と木や草花の名前を覚えました。見学後は、気になった花や木の場所を、植物園の見取図に記入して復習。年に何回か開催される散策ガイドには極力、参加しました。一時間ほど、園内を歩きながら説明してくれるのですが、どの先生の話も、私にとっては知らないことばかり。名前の由来や栽培の仕方、似た種類の見分け方から、薬としての活用法まで、知識の宝庫です。しだいに、この季節には、どこにある、どの花が咲くのか、わかってきました。

チンチョウゲ、スイカズラ、キンモクセイなどの香りには、とても季節の移ろいを感じます。もちろん花や、果実や落葉にも季節を感じます。街を歩きながら、香りをたどって花の木を見つけるほど、楽しいことはありません。

植物園の通年券は1,040円(大人)。単独券が320円(大人)です。他に弘前城と藤田記念庭園がセットになった共通券もあります。1,040円でまるで自分の庭のように楽しめる贅沢。私のように感じている弘前市民も少なくないようです。


▲弘前城植物園南口。左側に、見ごろの花の案内板がある。

これから

今また私は、新たなことを教わろうとしています。植物園で耳をすましていると、いろいろな野鳥の声が聞こえます。双眼鏡で観察している人に伺うと、公園内は樹種が多いので、たくさんの種類の鳥が観察できるそうです。野鳥の案内板を参考に、バードウオッチングを始めようと、考えています。

早朝散歩のコースに、公園を加えてみようかとも、たくらんでいます。ここは、早朝散歩のメッカです。


▲弘前公園で見られる野鳥案内板

好奇心を刺激するスポットであふれる弘前公園。私はさまざまな好奇心を公園から教えてもらいました。古典文学の多くに草花が登場しますが、娯楽の少なかった当時の人たちは、植物の成長から季節の変化を敏感に読み取っていたのかもしれません。全身の五感を使ってもっと公園を楽しめるようになりたい。当面の目標です。

四季によって表情を変える弘前公園、行ったことがない方は是非訪れてみてください。