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みんなが手話で過ごす「しゅわさろん」に参加してみた

弘前市は手話言語条例を2018年3月に制定し、市長定例記者会見や市の行事の一部に手話通訳を付けるようになりました。同年6月には市民が気軽に手話に触れてもらう場を作ろうと弘前市聴覚障害者協会など関係者が「しゅわさろん」という場を開催するようになりました。参加してみるとそこは、誰もが自由に集って手話で交流ができる開かれた場所でした。

 ▲「指文字で逆さ伝言ゲーム」で、先頭の人が伝言する指文字のお題を見て、確認している様子

私は、弘前に引っ越してきて間もない2019年の春、新聞に載っていた「しゅわさろん」の記事を見て「どんなところだろう?」と興味を持ちました。他の地域ではあまり聞かない名称だったので、気になったのです。

「しゅわさろん」では、手話や指文字、身振りやジェスチャー、板書などを活用して、見てわかる表現方法で会話をすることを基本的なルールとしています(手話が初めての人にはスタッフが音声で補助をして、一緒に楽しむことができるように工夫しています)。

▲初めての参加者に説明されるしゅわさろんのルール

2020年9月26日に開催された「しゅわさろん」は前半に2つのゲーム「指文字で逆さ伝言ゲーム」「写真やイラストのモノをジェスチャーで表現して当てるゲーム」を行い、後半は「イラッとすること・したこと」を話題にグループに分かれて交流をしていました。

「指文字で逆さ伝言ゲーム」というのは、5〜6人1チームになり、1番目の人がお題のくじを引き、書いてある3文字を次の人に順番を逆さにして伝えていくというゲーム。例えば「と」「け」「い」と順番に表すと「時計」と理解できますが、「い」「け」「と」と2人目以降の人に指文字を伝えていきます。最後の人がお題の3文字を、正しい言葉に戻して回答すればゴールというゲームでした。

▲「指文字で逆さ伝言ゲーム」で、2番目の人が3番目の人に伝えるために、肩を叩いて呼んでいる様子

たった3文字ですが、逆さにすることで難易度が増し、悪戦苦闘しながら参加者たちはがんばっていました。別のチームの人も、その様子を見て考えたり、楽しんだりしていますが、いざ自分のチームになると、緊張でドキドキします。お題が3文字から4文字になった時には、さらに難易度が上がり、皆さん真剣な表情で頭をフル回転させていました。

2つ目の「写真やイラストのモノをジェスチャーで表現して当てるゲーム」は、写真やイラストのモノを名称ではなく、使い方や形状などを自分の手指や身体を使って表現し当ててもらうゲームです。手話を使わずに表現するので、初心者もベテランも関係なく参加できます。

▲お題のイラストのモノを、手や表情で表現している様子

当日の参加者は約20人。耳の聞こえない人や、手話歴の長いベテランから初心者のほか、以前に手話を学んだ人など、さまざまな参加者がいました。この日初めて参加した人もいましたが、皆さん和やかに、時には真剣な表情で手話でのゲームやコミュニケーションを楽しんでいました。

参加者の中には、透明なマスクを付けている人もいます。手話で会話をする時には、表情や口型も大切なので、マスクで口元が見えないとコミュニケーションが取りづらくなるからです。会場には、透明マスクの作り方を書いたチラシも置かれていました。

この日参加していたAさん(20代・女性)は、「以前から手話に興味があり、母がスタッフの方と知り合いだったので、昨年から何度か参加しています。手話は難しいけれど、とても楽しいです」と笑顔で話してくれました。

運営スタッフさんが感じていること

「しゅわさろん」のスタッフは、「市の広報誌や新聞で時々紹介されているので、始めてから約2年の間で、しばらく会えていなかった聴覚障がいの仲間や、聞こえる人の中で孤独を感じて暮らしていた難聴者が来てくれたことが、とてもうれしかったです」と話していました。参加者の中には、「子どもの頃通っていた小学校がろう学校と交流していたことを思い出して来てみた」という方や、「手話サークルの場所や時間帯の都合が合わなくなり中断していたが、ここなら大丈夫」と来てくれた方もいたそうです。

▲スタッフが参加者に説明をしている様子

スタッフは「手話のタネを蒔いているような感じです。一人ひとり条件は違いますが、来てくれる人が少しずつ増えています。最初は遠慮がちだった人が何度か来ているうちに、積極的に手話を表現するようになっていくのを見るととてもうれしいです」という喜びも話してくれました。

弘前発の取り組みの「しゅわさろん」。共催の弘前市が会場を提供していて、駅近くのショッピングモール&公共施設である「ヒロロ」で開催しているので、気軽に立ち寄りやすく、開放的で居心地の良い場所になっているのだと思います。ここからどんどん手話の輪が広がっていきますようにと私も願っています。

▲後半の交流でテーマの内容を話している様子

 

「しゅわさろん」

開催時間

毎月第4土曜日 14:00〜16:00*3月のみ第3土曜日

開催場所

ヒロロ3F 多世代交流室

問い合わせ先

TEL/FAX 0172-34-1850(しゅわさろん実行委員会 担当・神さん)