farmer里親農家・先輩農家のご紹介
葉とらず農法の技術を磨き、さらにおいしいりんごを
小林 政貴(こばやし まさき)さん
- 栽培品目
- りんご(ふじ、つがる、早生ふじ、シナノスイート、シナノゴールド、王林、金星、ときなど)
- 経営面積
- 5ヘクタール
- 労働力
- 本人、両親、期間雇用5人、収穫期4人
こだわりは、剪定技術と着色管理
青森県農業大学校で土壌肥料を専攻し、卒業後は東京に本社のある肥料会社に就職しました。東北支店の立ち上げにも携わり、東北6県を営業で駆け回る日々。いずれは家業を継ぐつもりだったので、4年半ほど勤務した後、退職してりんご栽培を始めました。農家は私で4代目。園地は弘前市原ヶ平地区、アップルロード沿いにあります。
うちで採れたりんごは、7割がJA出荷、あとは農事組合法人原ヶ平りんご生産出荷組合に出荷しています。当組合では、サンふじの収穫は11月5日以降と定め、雪が降るぎりぎりまで樹上完熟させているため、とびきり甘くてジューシーな風味が自慢です。
りんごの出来は、7割が剪定で決まるので、翌年の秋をイメージしながら、残す枝と実を成らせてはいけない枝を見極めます。私は剪定士の資格も持っていて後輩たちを指導する時は、「よく木を観察することが大切だ」と、伝えています。また、「葉とらず農法」にも取り組んでいます。りんごは日光にあたることで赤くなるため、通常は収穫前に日光をさえぎる葉を取り除きます。しかし、葉とらず農法では、葉を残して光合成をさせることで、りんごにより多くの養分を行き渡らせ、濃厚な味に仕上げます。剪定方法にもよりますが、最近は葉とらずでも赤くなることがわかってきたので、着色管理にこだわって、見た目・食味ともに優れたりんご作りに取り組んでいるところです。
弘前市の取り組みにより、園地に笑顔と活気が
りんご農家の高齢化などによる人手不足問題が深刻化するなか、2021年10月、弘前市は、市内でのりんご生産に関わる副業を解禁し、職員が終業後や休日を利用してりんご作業のバイトができるようになりました(農林部と農業委員会の職員は除外)。地方公務員法では公務員の副業は原則禁止のため、りんご農家での兼業を可能とする取り組みは全国で初めてとのこと。うちにも職員の方が収穫作業の応援に来てくれて大変助かりました。
また、弘前市では新型コロナウイルスの影響でアルバイトを自粛している大学生などと、人手不足に悩むりんご農家の両者を支援するために、農家が大学生などに支払う日当の一部を補助する制度を設けています。うちにも弘前大学の学生たちがアルバイトに来てくれましたが、畑に若い子がいるだけで活気が全然違います。我が家の高校生の子どもたちも、少し上の世代が楽しそうに作業しているのを見て興味を持っていました。コロナ禍で大変ななか、頑張ってくれた学生たちに感謝の気持ちを込めて、徳島県や北海道のご実家にりんごを贈ったのですが、「こんなにおいしいりんごは初めて!」と、好評でした。「卒業したら、毎年注文します」と言ってくれた子もいて、若い世代との温かな交流に元気をもらっています。