farmer里親農家・先輩農家のご紹介
「農園」を「楽園」にしたいという夢に向かって
成田 晃(なりた あきら)さん農園名:おりかさ蜜ツ星農園
- 栽培品目
- りんご(紅玉、千雪、シナノスイート、おいらせ、シナノゴールド、(ぐんま)名月、紅の夢、とき、ふじなど)
- 経営面積
- 5.3ヘクタール
- 労働力
- 本人、妻、社員2人、バイト4人、研修生1人
料理長からりんご農家に転身
板前として働いていた26歳の時に、りんご農家だった祖父が病気で倒れ、私がりんご農家を継ぐことになりました。試行錯誤しながら独学で調べたり、農家の方のお話を聞くうちに、りんご作りの面白さに惹かれ、当時3か所だった畑を現在では8か所に拡大しました。
うちの8つの畑には、それぞれテーマを設けています。1つは、希少品種である「おいらせ」というりんごを栽培している畑です。ここ、折笠地区は、かつて地元のりんご栽培家・對馬竹五郎氏が「スターキングデリシャス」の育成に成功し、一大産地として栄えた場所です。そうした地域の歴史をリスペクトし、「スターキングデリシャス」を親に持つ「おいらせ」を栽培しています。
次に、青森県では主流の栽培方法・丸葉栽培で「ふじ」を育てている畑です。ここの畑は、昔うちの祖父が、30アールの畑から20キログラム入り木箱で1000箱の「スターキングデリシャス」を収穫したという伝説が残されている場所。いつか、「ふじ」で、その記録を超えたいと思い、剪定技術を追い求めている畑です。
また、「紅玉」や「紅の夢」など加工用の畑や、切っても褐変しないりんご「千雪」を栽培している畑もあります。
さらに、わい化栽培の畑もあります。標高が高く豪雪に見舞われるこの場所は、わい化栽培には不向きとされた土地です。6年前に、秋田県の湯沢地区で、雪害対策をしながらりんごを栽培しているのを見て、うちでもできるのではないかと思ったんです。土中の石を取り除いて土を改良したり、「板柳町わい化栽培技術研究会」の皆さんからアドバイスをいただきながら、試行錯誤を繰り返し、ようやく実現に至った畑です。
農福連携のモデルケースをつくり、農業を未来へ
土作りにこだわり、北海道産ヒトデ海鮮堆肥や、りんごの剪定枝をチップにした自然循環堆肥を使用しています。その他、魚のアラ、昆布、ホタテなどを木酢液に溶かした魚ちょう木酢を葉に散布するなど、できるだけ自然のものを生かした栽培方法にこだわっています。
消費者の果物離れが叫ばれるなか、りんごの新しい食べ方の提案も行っています。たとえば、果肉まで赤い「紅の夢」は、加工用としての需要が高いのですが、細かくカットして、サラダに使う「サラダアップル」としてアピールできないかと考えているところです。
近年、特に力を入れているのが、市内の障害者施設と一緒に取り組んでいる農福連携です。私が子どもの頃は、近隣の養護施設の子どもたちと一緒にじゃがいもを育てたり、収穫祭を行って共に育ちました。なので、就農する際は、障害のあるなしに関わらず一緒に農業を楽しみたい、そうした活動を通じて地域貢献したいという思いがずっとありました。
近年、受け入れている障害者施設の方は、4人1チームで1本の木を担当し、協力しながらコミュニケーションを取って楽しそうに作業にあたっています。今では、花摘み、実すぐり、袋かけ、袋はぎ、葉取り、つるまわし、収穫までの一連の作業が上手にできるようになり、私たちも本当に助かっています。農福連携の成功事例ができれば、彼らにとってもやりがいを持って働く場が生まれ、農家の労働力不足解消にもつながると思っています。
今後はスマート農業にも挑戦
働く時は一生懸命働き、休む時は思いきり休むのがうちのモットー。社員も私も年間210日働いて、冬の期間は思い思いに過ごします。昨年は、自分の畑の剪定をしたり、いろんな畑の剪定を見て回りました。
現在も研修生を1人受け入れていますが、新規就農を希望する人、りんご農家として独立したい方は、ぜひうちで作業を体験してみてください。今後は、高密植栽培やスマート農業にも挑戦する予定です。りんごの可能性を追求し、「農園」を「楽園」にしたいという夢に向かって取り組んでいます。
1日のスケジュール
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6:30
朝食
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7:00
当日の作業の準備など
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7:30
作業
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10:00
休憩
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10:15
作業
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12:00
昼食
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13:00
作業
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15:00
休憩
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15:15
作業
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17:00
倉庫で選果・宅配準備作業(収穫期の場合)
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18:00
夕食
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19:00
選果・宅配準備作業(収穫期の場合)、事務作業(20:00まで)
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23:00
就寝