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弘前で「足るを知る」 夫婦で農的な暮らしに挑戦

Profile

前田 誠也(まえだ せいや)青森県
前田 ローズ(まえだ ろーず)カリフォルニア

移住年
2021年
職業
誠也:Webエンジニア(フリーランス) ローズ:英語教育(会社員)

2021年、“農”が身近にある暮らしや自分たちの食事スタイルに合わせた生活を求め、夫婦で弘前市へ移住。誠也さんは、弘前市から車で1時間弱のところに位置する五所川原市の出身。誠也さんが生まれ育った青森で、ローズさんの長年の夢であった家庭菜園をしながら暮らす前田さんご夫婦にリモートワーク移住や弘前での暮らしに関してお話を伺いました。

リモートワーク移住をした理由や経緯を教えてください。

誠也さん:弘前市に移住する前は、関東圏に10年ほど住んでいて、モノ・コトの移り変わりの激しい環境の中で「ただ何かを”消費”している感覚」がありました。東日本大震災の影響もあり、30歳を過ぎたあたりから「幸福」について考えるようになりました。自分が理想とする幸せな生活は何かと自問自答したときに出た答えが、依存的な暮らしから、できるだけ自立的な暮らしにシフトして、「足るを知る」ということでした。それは、「“農”が身近にある生活」「農的な暮らし」を実践し、自分の生活を直接支えてくれるモノを、自分自身で賄うという暮らし方です。

そして、自分のルーツである青森県には、この暮らしを実践できる環境が整っていることに気づき、また、都心部での新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、青森県へ戻ろうと決意しました。私の出身は五所川原市ですが、私たち夫婦はヴィーガン(菜食実践者)ということもあり、ヴィーガン関連・オーガニック食品を扱うお店が県内の他地域に比べて多い弘前市への移住を決めました。

ローズさん:私は、日本に来てから9年間、都会での暮らしを経験しましたが、もっと自然のある場所に住み、いつか家庭菜園をやりたいと考えていました。弘前市には、夫と何回か観光で訪れたことがありましたが、ヴィーガン料理を提供するお店が多いこともあり、素敵な街だと印象に残っていました。また、現在勤めている会社からも、弘前市への移住については問題ないと言われていました。このほか、将来、子どもが生まれたらどんな環境で育てたいかを考えたとき、夫が生まれ育った青森県が最も理想的だと思ったことも、移住理由の一つです。

リモートワークでの仕事内容を教えてください。

誠也さん:Webサービスの開発が主な業務です。現在は、都内にあるスタートアップ企業の案件に携わっています。今後は地元のお客様も増やしていきたいですね。移住する前からリモートワークという作業環境で仕事をしていて、リモートワーク歴は4年ほどになります。

ローズさん:英語教育関係の会社で、カリキュラム開発・翻訳・英語のネイティブチェックなどをしています。基本的には一人でパソコンに向かって仕事をしていますが、週に数回程度、オンラインで会議があります。私のリモートワーク歴は3年ほどです。

普段はどういった環境でお仕事をしていますか?

誠也さん:自宅の一室をオフィスにして仕事をしています。たまに、気分転換にリビングですることもあります。

ローズさん:家のリビングのダイニングテーブルで仕事をしています。二人とも移住前からリモートワークをしていましたが、移住してからは家も広くなったので、夫と違う部屋で仕事をすることができるようになりました。オンライン会議の時は、お互い邪魔にならないように部屋を変えることもでき、とても快適です。

誠也さんの仕事風景
ローズさんの仕事風景

リモートワーク移住をしてみて、良かった点や実際リモートワークをしてみて感じたことを教えてください。

誠也さん:「通勤」という概念がないので、その分の時間を、大切な家族のために使うことができる点です。

ローズさん:家で簡単にちゃんとしたご飯を食べることができるので、時間やお金の節約にもなります。夫と一緒にご飯を食べることもでき、夫婦で過ごす時間が比較的多いことも、私たちにとってはプラスですね。

リモートワーク移住をするにあたって不安だったことや改善点、実際に住んでみて不便だったことはありますか?

ローズさん:冬の暮らしを最初は不安に思っていました。たしかに雪は大変ですが、弘前には他にいいところがたくさんあることを知っていましたし、移住してからも同様に感じています。そのため、私は「じゃあ、雪を好きになろう」とポジティブに考えています。

よく地元の人には、「東京から来たなら、こっちは不便に感じないか」と聞かれますが、弘前は快適な生活に必要なものが揃っているので、全く不便を感じません。万が一欲しいものが弘前市内になくても、インターネットで注文できるので問題ないです。

誠也さん:今回移住する前に不安だったことは、移住にかかる初期費用です。私たちの場合は、弘前市東京事務所に相談し、弘前市の移住支援金の制度を利用しました。

移住支援金について、実際に利用してみていかがでしたか?

誠也さん:移住支援金として100万円の助成が受けられることは、移住コストに対する安心感につながりますし、移住を決意する理由の一つにもなりました。ただ、移住に関心のある20代・30代の若年層はあまり金銭的余裕がない世代でもあると思うので、より手厚いフォローがあってもいいのではないかと思います。

移住してみて分かった弘前市の魅力とは?

ローズさん:休みの日や仕事前の早朝に、ふらっと山へ行って、美しい自然を身近に感じられることがとても魅力的です。家から見える岩木山にも、いつもパワーをもらっています。

家には大きな庭があり、ずっと挑戦してみたかった家庭菜園も始めることができて、とても楽しいです。野菜や果物は自分で育てる以外にも、家族、友人、隣に住んでいるおばあさんからいただくことが多いので、スーパーで購入することがあまりなくなりました。このように、お金を使わずに物を交換し合う嬉しさに気付くことができました。

また、弘前市は季節ごとに違う景色が見られます。移住した6月には、道の真ん中にラベンダーの花がたくさん咲いていて、「ようこそ」と言ってくれているように感じました。夏にはひまわり、秋にはコスモス、冬には雪で全てが真っ白になって、まるで別世界のようです。また、りんごもぎや稲刈りなど、青森県だから体験できることがたくさんあります。東京では難しいことが、弘前市だといくらでもできることはとても魅力的です。

誠也さんの農作業風景
ローズさんの農作業風景

誠也さん:市の中心には弘前城や日本一の桜の観光スポットがあり、岩木山へは約20分、近場の海へは約40分、世界遺産白神山地にも約1時間で行くことのできる、理想的なロケーションです。その時々の季節を全身に感じることができるし、季節を追うごとに風景の表情が変わっていく様はとても美しいです。雪化粧をまとう岩木山の優美さは言葉では表現しがたい魅力があります。

また、市内を歩いていると、弘前市は、日本的でもあり、異文化的でもあると感じます。時間が動いているところもあれば、時間が止まっているようなところもあって。例えば、城下町の伝統的建造物群保存地区がある一方で、ヨーロッパ風の建築や教会もあったり、若者が好むような喫茶店やデパートなど、モダンなところもあったりする。そのあたりの境界線が曖昧なところも魅力の一つだと思います。

移住をきっかけに、仕事やプライベートで取り組みたいことがあれば、教えてください。

誠也さん:現在、仲間と一緒に『こもる』というホテルをつくるプロジェクトに参加しており、私はWeb制作を担当しています。『こもる』は、「自分の時間を大切にしてほしい」というコンセプトで、中長期の宿泊を扱うホテルです。ホテルの建設地は五所川原市で、2022年の夏頃オープンに向け、その準備などに取り組んでいきたいです。

ローズさん:移住してから、ビーチクリーンなどゴミを拾う活動に何回か参加しています。他にも、環境にいいことをしていきたいと思います。また、環境と体に優しいヴィーガンの魅力を、もっとたくさんの人に伝えていきたいです。

ご夫婦で街歩き

ご家族の感想などもお知らせください。

誠也さん:両親は、私が青森県に帰ってきたことを、喜んでくれています。直接、言葉にはしませんが(笑)。東京から年2回帰省した時と、弘前から週1で帰る現在とでは、家に行った時のテンションがまるで違うんです。東京にいた頃は、どこか他人・お客様のような感じがありましたが、今は、他人からまた家族になったような感じがします。

ローズさん:夫のご両親は、とても優しいんです。移住したばかりの頃に軽トラを貸してくれるなど、いろいろと協力してくれています。

私の両親はカリフォルニア州にいますが、東京から弘前市に移住したことで、「娘が日本の都会で暮らすこと」に対しての心配がなくなり、安心していると思います。また、両親も自然が好きなので、機会があれば弘前市に遊びに来たいと言ってくれています。

前田さんご夫婦のリモートワーク移住の様子が分かる動画はこちら

前田誠也さんのYoutubeチャンネル『AOMORIAN BOY』より

前田誠也さんのブログ『雪国アオモリ移住日記』
前田ローズさんの動画チャンネル『Rose in Japan』
前田さん夫婦が活用した移住支援金について