弘前ぐらし 弘前移住情報サイト

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farmer里親農家・先輩農家のご紹介

「自分で農地を持つ就農」ではなく「雇用就農」を選んだ理由

Profile

相川 一馬(あいかわ かずま)さん勤務先:もりやま園株式会社

栽培品目
りんご(未希ライフ、彩香、ジョナゴールド、北紅、千雪、安祈世、こうとく、王林、ふじ)など約30品種
経営面積
9.7ヘクタール
労働力
社員7人、パート登録者約4人、バイト登録者約40人

子どもが生まれたことを機に、今後の生き方を再検討

中学・高校時代から農業や環境問題に興味があり、北海道大学農学部でバイオマスエネルギーについて学びました。卒業後は、民間企業に就職。仕事も充実していたし、1年半ごとに転勤で全国を回る生活も楽しかったのですが、結婚して双子の男の子が生まれたことを機に考えが一変。「子どものためにも、単身赴任ではなく家族で一緒に暮らしたい。以前から関心のあった農業に関わる仕事がしてみたい」と思うようになりました。

岡山県出身の妻は、独身時代に、岩木山麓にある「森のイスキア」を訪ねたことがあり、その時に見た岩木山の美しさがずっと心に残っていたようです。「移住して家を建てるなら、岩木山が見えるところがいい」という妻の希望と、農業に関わるのであれば、青森県を代表するりんご産業に携わりたいという思いから、2020年、就農に向けて情報収集を始めました。

相川さん 里親農家

農業を成長産業に変えるビジネスに惹かれて

就農にあたっては、「自分が将来目指す方向性」について、ノートに書き出して整理する作業も行いました。少しずつイメージが明確になるなか、やはり一番不安だったのは、家族が暮らしていくための収入の確保でした。農業機械や園地もなく、りんご栽培のスキルもない状態で、果たして家族を守れるだろうか…。

悩んでいた時、新たな発想でりんごビジネスを展開している、弘前市のもりやま園の取り組みを知りました。もりやま園は、「マイナスをプラスに変えるアイデアで、りんご農業を成長産業にする!」をコンセプトに、ICT技術を活用して農作業を最適化したり、りんご栽培で発生する摘果りんごを活用してシードルを生産する6次産業化に取り組むなど、全国からも注目が集まっている会社です。その取り組みに関心が湧き、新規就農にこだわらなくても、雇用就農という形で青森のりんご産業を盛り上げていく方法もあるのではないか、と考えるようになりました。

りんご栽培 ICT技術を活用

さっそく面接に行ったところ、社長は私の意見や提案に熱心に耳を傾けてくれて、社員主導型の印象を受けました。また、社員もほとんどが30代と若く、地元・弘前大学の学生たちがバイトに訪れるなど活気あふれる雰囲気も好印象でした。この会社であれば、私がこれまで培ってきたスキルを活用しながら、りんご産業に貢献できるかもしれないと感じて、2021年9月、当園に就職しました。

りんご 収穫の様子
大学生バイト りんご収穫の様子

若い人が農業に憧れをもつような会社にしていきたい

当園で栽培しているりんごはすべて、農薬の使用を5割以下に削減、化学肥料を用いない栽培方式を採用しており、青森県特別栽培農産物の認証を取得しています。

現在、私は生産部に所属し、りんごを安定的に生産するための年間計画を立てたり、作業・生育管理を行っています。また、営業も兼務し、販売戦略や販路拡大にも力を入れています。決算書を見ながら、会社の現状や課題を割り出し、その分析結果をもとに社員全員で経営戦略を練っています。前職では、仕事柄、日々数字を追いかけていたので、その経験が今の仕事に生かされ、会社にも貢献できることに喜びを感じています。りんごのネット販売に関しては、りんご詰め合わせセットの内容を新しくオープンにしただけで、お客様からすぐにレスポンスがあり、 売れ筋商品に成長することもあります。(5種類食べ比べ3㎏など)
まるでお客様と対話しているようで、とてもやりがいを感じます。自分の提案がダイレクトに売り上げに反映され、消費者からの反応が感じられるところにも面白さを感じています。

りんご 生果

当園は、自社農園のりんごを使用してシードルなどの製造も行っているため、ほぼ通年で加工作業が充実しています。6次産業によって、りんごの新たな価値を生み出し、通年の雇用にもつながっています。今後も農作物の価値を高めて、仲間とともに、若い人が農業に憧れるような会社にしていきたいと思っています。

休みの日は、大好きな「りんご公園」に出かけています。子どもたちは虫やトンボを追いかけたり、りんご畑の向こうに広がる岩木山を眺めながら過ごす時間が好きです。数年後には、岩木山を望める場所に家を建てるのが夢。実現できるように頑張りたいと思います。

実実っているりんご
加工品 シードルなど

新規就農を目指す人へのメッセージ

農業は、自分がこれまで培ってきたスキルや経験を総合的に生かせる仕事だと思います。私自身も、前職で消費者のニーズをキャッチしたり、経営者側の視点に立って数字を追いかけてきた経験が役立っていると感じています。それまで農業と無縁だったからこそ、逆に消費者目線で気づくことがあるのかもしれません。就農にもさまざまなスタイルがあるので、じっくり検討して自分に合った方法を見つけてください。

1日のスケジュール

  • 4:30

    起床

  • 5:00

    売上集計や経営分析&自由時間。場合によっては、在宅ワーク扱いとして給料がもらえる。

  • 7:00

    朝の準備

  • 7:15

    子どもを幼稚園へ送迎後、通勤。

  • 7:30

    業務開始

  • 10:00

    小休憩

  • 10:15

    業務再開

  • 12:00

    昼休憩&昼食

  • 13:00

    業務開始

  • 15:00

    小休憩

  • 15:15

    業務再開

  • 17:00

    退勤・幼稚園送迎

  • 17:30

    夕食、家事、子どもと遊ぶ。入浴

  • 21:30

    就寝