弘前ぐらし 弘前移住情報サイト

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farmer里親農家・先輩農家のご紹介

りんごの魅力の多様さに気づき、りんごと関わり続けたい

Profile

永井 温子(ながい あつこ)さん農園名:ヒビノス林檎園

栽培品目
りんご(恋空、きおう、つがる、未希ライフ、弘前ふじ、トキ、シナノスイート、ぐんま名月、北斗、シナノゴールド、アンビシャス、ジョナゴールド、王林、サンふじ、こうとく、千雪など)
経営面積
2.5ヘクタール
労働力
本人、夫、従業員1人、バイト3人

広告業界で培ったスキルを生かし「りんごプロジェクト」に参加

私は福島県出身で、弘前大学卒業後は、首都圏の広告代理店で働いていました。大学時代から、いつかは東北に戻り、地域に関わる仕事がしたいと考えていたのですが、地域おこし協力隊の制度を活用して、地域課題の解決や地域資源を生かしたプロジェクトに取り組む「NCL弘前」のことを、前職の時に知りました。取り組みのひとつに、地域の魅力を発掘し発信することで「りんご農家の担い手を増やす」という「りんごプロジェクト」がありました。もしかしたら、自分が広告業界で培ったスキルを生かせるかもしれないと思い、応募しました。幸いにも採用していただき、2019年4月、地域おこし協力隊に着任しました。

永井さん 先輩農家

着任1年目は、「NCL弘前」のパートナー企業である「弘前シードル工房kimori」が持つりんご畑で、「剪定」から「収穫」まで、栽培の体験をさせてもらいました。りんごに関わる人たちのお話を聞くうちに、りんご産業を持続するためには、単に農家の数を増やすだけでは不十分なのではないか、もしかしたら、課題はもっと別のところにあるのではないかと考えるようになったんです。それを探るために、自分自身でりんごの栽培をしてみたいと思うようになりました。

そんな時、ある音楽ライブを通じて、板柳町のりんご農家の方と出会いました。それが今の私の師匠にあたる方ですが、師匠は私の思いに共感してくれて、一緒に園地を探してくれました。まもなく、弘前市石川地区に「千雪」だけを植えている40アールの園地が見つかり、そこを借りて2020年に1人でりんご栽培を始めました。さらに、翌年は2.1ヘクタールの畑を購入し、現在、市内3か所にある計2.5ヘクタールの園地でりんごを栽培しています。

品種「千雪」 実っている様子
品種「千雪」
園地からの景色
園地からの景色

りんごにまつわるヒト・モノ・コトを面白がる会社を設立

就農後、「RINGO BASE」や「ヒビノス林檎園」など、りんごやりんご畑から生まれる魅力をいろんな人に知ってもらいたいという思いで、いくつかサービスを始めました。また、あるスタッフが「ナンニモシナイくらぶ」という会を立ち上げてくれて、地域の学生たちとぼーっとする時間を楽しんだりしています。友人たちとりんご畑を舞台に音楽イベントを開いたり、モツを焼いたりして交流する「酒池肉林檎サークル」というサークルもいつの間にかできていました。会社員時代は、仕事と生活がはっきり分かれていましたが、今はその境界が曖昧で、生活と仕事と遊びがすべて一体化し、そういう生活が苦ではない自分がいることに気がつきました。

畑の小屋
「ナンニモシナイくらぶ」の交流場所は畑の小屋

りんご農家になって驚いたのは、日本だけでりんごの種類が約2000種類もあるということ。しかし、実際に市場で高く売れるのは、大きくて見た目が良く、赤くきれいな生食用のりんごです。でも、生産していると、真っ赤で形の良いりんごだけがおいしいとは限らないのだな、ということがわかってきました。なので、“りんごは、こうあるべき”という従来の価値観にとらわれず、もっとりんごが持つ多様な魅力に目を向けていきたいと考えています。特にやってみたいこととしては、生産者だけでなく、販売・流通に関わる人と一緒になって、もう一度青森りんごの規格や定義づけについて考えてみるということです。今まであまり見えていなかった青森りんごの新たな魅力を見つけることができるかもしれません。

自分のお気に入りのりんごを見つけてほしいという思いから、品種別のりんごジュースの製造・販売を行っています。ボトルには、かつてりんごの木箱にステンシルのように転写していた「刷り版」のデザインを使用。自分自身が好きで始めたことなのですが、レトロな文字が可愛いと若い世代にも好評でとても嬉しいです。 2021年8月には、「株式会社Ridun(リズン)」を設立。栽培のほかにも、商品開発やりんご園での楽しい過ごし方を考えたり、みんなでりんごを面白がる会社にしたいと考えています。

りんご かごに入っている様子
りんご 収穫の様子

人とつながり、海外にも目を向け、改めてりんごを考える

りんごの収穫が終わり12月になると、ジュースの発送作業がメインになります。毎年、1月は休むと決めているので、県外の知り合いを訪ねて情報交換したり、インプットする時間にあてています。学生時代、フランスに留学していたのでぶどう畑は見たことがあるのですが、フランスのりんご畑も見に行ってみたいです。栽培だけではなく、りんごを通じて生まれた歴史や文化も含め、まだまだあるりんごの可能性を探り、情報発信しながら自分自身りんごと一緒に成長していきたいと思います。

永井温子さん 先輩農家

新規就農を目指す人へのメッセージ

新規就農する時は、何か困った時にすぐに助けを求めることができる“師匠”がいると安心です。私もわからないことがあると、師匠に画像を送って「この葉っぱの状態は何ですか?」などと相談したりしています。師匠が指導してくれたおかげで今まで継続することができています。弘前市は、私のような素人でも、栽培・出荷・販売ができる環境があるので有り難いです。そういう意味では、弘前は新規就農しやすい場所だと思います。

1日のスケジュール

  • 7:00

    起床・猫と戯れる

  • 7:30

    朝食

  • 9:00

    園地で作業

  • 10:00

    休憩

  • 10:15

    園地で作業

  • 12:00

    昼食・車でお昼寝

  • 13:00

    園地で作業

  • 15:00

    休憩

  • 15:15

    園地で作業

  • 16:30

    帰宅後、シャワーを浴びる

  • 17:00

    スーパーで買い物

  • 17:20

    ビール片手に夫婦で夕食の支度

  • 18:00

    夕食

  • 18:30

    デスクワーク(20:00まで)

  • 21:00

    就寝