voice移住者の声
140年の津軽の伝統を受け継ぐこの地にさらに根付きたい
加藤裕人さん(かとう ひろと)群馬県富岡市出身
- 移住年
- 2014年1月
- 職業
- 加藤醸造元 営業
大学時代から交際していた諭絵さんとの結婚を機に弘前市へ移住。趣味は野球観戦。
結婚をきっかけに弘前に移住
結婚を機に弘前市へ移住をしました。私の妻・諭絵さんは、弘前で140年以上続く「加藤味噌醤油醸造元」の次女で、この醸造所は津軽地方に伝わる「津軽味噌」や醤油を手掛ける、市内では唯一の店でした。
諭絵さんとの交際は大学時代から始まり、2009年に彼女は父親が体調を崩したため、弘前に帰郷します。製造や店の経理といった仕事を手伝い始めていましたが、一方で私は東京から長野県松本市に引っ越し、建設会社で営業を担当していました。休むことも少なく遅くまで仕事をし、せわしく働く日々でしたね。
四季の移り変わりを感じ、心にゆとりができた
弘前市に移住して、生活のすべてが新しくなりました。大学を卒業してから勤務していた会社員を辞めて家族経営の自営業になったこと、一人暮らしから結婚生活になったこと、知り合いが一人もいない土地での生活だったこと。そして苗字が変わったこと。慣れることに少し時間はかかりましたが、新しい価値観に触れる機会が多く、生活が逆に豊かになったような気がします。
移住する前から弘前市に訪れたことはあります。歴史と文化、自然がバランスよく存在し、田舎でありながら都会のような街だと思っていました。しかし、少しの滞在と実際に住み始めて見えてくることは異なりました。以前より米や野菜、魚が身近に感じられるようになり、どこで誰が作ったものなのだろうと、「食」に関心を持つようになりました。また、都会に住んでいた時より「四季」を感じるようになりました。弘前の夏はねぷた、秋には紅葉、リンゴを中心としたさまざまな実り、冬の雪はうんざりするくらい降りますが、春の訪れを待ちわびながら雪かきをし、そして春。日本一と言われる弘前公園の桜を見れば、人生において、ひとつ利を得たような感じがします。こんなに季節の移り変わりを楽しんだり待ちわびたりしながら生活ができる土地は他にないと思います。
私はまだ味噌や醤油について、勉強中の身ですが、弘前で受け継がれてきたこの津軽の伝統を後世に伝えていくことが目標です。さらに発展させていくことができるのは、外から来た人間としての役割なのではないかと考えています。そのためにもまずは私自身が地元の人たちとさらに交流を深め、「津軽の味」としてもっと愛されるようになっていきたいですね。
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