voice移住者の声
友情と挑戦の軌跡―Uターンした2人が紡ぐ新しい風
大湯義秀さん・高屋風我さん(おおゆよしひで・たかやふうが)青森県弘前市出身
- 移住年
- 2023年9月
- 職業
- 自営業
挑戦するか何もしないか
「何かをやってホームレスになるか、何もやらないまま社会の歯車として埋もれるか」。
20歳のころ、私たち二人は、極端な2つの選択肢から将来を模索するような会話をしていました。中学校で出会い、サッカー部と野球部という異なるフィールドで青春を過ごし、卒業後もそれぞれ別の高校へ進学しました。年に一度顔を合わせる程度の関係だった私たちの運命が大きく動き出したのは、25歳のころでした。
栃木でエンジニアとして経験を積んだ大湯と、宮城で進学や不動産業界を経てスキルを磨いた高屋が、これまでのキャリアを一度リセットすることにしました。独立するなら社会経験を数年積んでからと決めていたことだったので。その後は2人で茨城の工場で働きながら、将来の構想をさらに練り上げます。
転機は、東京で出会ったミールパンケーキの感動でした。「弘前で展開したい」。その一心で、カフェ激戦区の東京で現場を学び、横浜のアパートで共同生活を送りながら、早朝から深夜まで「いつか自分たちの店を」という夢のために奔走します。カフェからカジュアルイタリアンまで、経営に必要なノウハウを泥臭く吸収しました。
土手町に新しい風を吹かしたい
2023年9月、私たちは弘前へUターンを果たしました。Uターンした初日から事業計画書を練り上げ、物件の内見を行い、11月には工事を着工。12月23日、わずか3カ月で念願の店「Dolf.(ドルフ)」をオープンさせました。
しかし、現実は甘くありませんでした。「東京で流行っているものを持ってくれば成功する」という考えは、地域の文化や商習慣という分厚い壁に突き当たりました。モーニング文化が根付かない苦悩、イベントでの集客の難しさ。それでも諦めずに試行錯誤を続け、雪の季節に合わせた戦略など、地域のニーズに寄り添う経営へと転換していきました。その結果、2年目以降は着実に売上を伸ばすことができています。
現在、私たちはかねてからの目標であった2店舗目の洋食レストラン開業に挑んでいます。舞台は土手町。駅前と鍛冶町の中間地点を盛り上げ、この場所に「人が来る理由」を創り出すことが私たちの使命だと思っています。
店を通じてどんな価値を提供し、どんな新しい風をこの街に吹かせられるか。今、地域に根ざした場作りという壮大な挑戦を心から楽しんでいます。弘前の街に新たな人の流れを作るため、私たちの試行錯誤はこれからも続けていきたいです。